クリエイターはフリー素材を提供すると自らの首を絞める事になるのか?

8/15/2015 Leo Rivas(リオ・リーバス) 0 Comments


基本無料のビジネスモデル「フリーミアム」が流行りだし、音楽、映像、写真、ソフトウェアまで、クオリティの高いものがいくらでも無料で手に入ってしまう時代になりました。物やサービスに対しての対価を支払うという価値観が失われつつある事には個人的に疑問を抱く部分もありますが、時代がそういう流れになっている以上は逆らえない部分もあります。市場の動きをしっかり把握する事もクリエイターの仕事の一つですから、このような現象が今後自分たちにどう影響してくるかもしっかり考えなければいけません。

今回は、僕が現在 “就職活動中” の会社「Crew」の創立者の一人、Luke Chesserが彼のブログで綴った記事を紹介したいと思います。

この記事は、Lukeさんが無料で写真素材を提供する「Unsplash」というサイトを運営する立場から、プロのフォトグラファーから多く届く問い合わせに対しての答えをブログで紹介したものです。

写真家から多くある問い合わせというのは「Unsplashに写真を載せるべき理由」です。つまり、写真を撮ることで生計を立てているプロが、あえて無償で写真を提供する事に意味があるのか?自分の首を占めかねないのでは?といった疑問です。Unsplashのようなサイトが今後自分たちにどう影響するかのかを心配している写真家も多いのでしょう。

それに対してのLukeの答えですが、本人もデザイナー兼デベロッパーである立場からも、多くの人達がクオリティの高さよりも安さを求め、プロの仕事に対して過小評価し過ぎている事を懸念していると言います。

Unsplashは、元々は会社の本業とは別に実験的にはじめたサイドプロジェクトに過ぎません。Crewは元々、才能あるクリエイターが、仕事を得る所から報酬を得るまでの流れをスムーズにし、効率的に、そして安心して仕事ができるシステムを作る為にできた会社だと言います。その延長線上で生まれたUnsplashも当然、今後、フォトグラファーへ様々な形で還元できる仕組みを提供していくのだそうです。

(* 実際に、僕が東京でもう一人の創立者Mikael Choと話した時に聞いた話では、現時点でも既にアマチュアとしてUnsplashへ投稿しはじめ、今では写真だけで生計を立て、プロのフォトグラファーになれた人までいるとの事です。全ての写真家にとってお金になる状況ではないにしても、色々なチャンスに繋がるという事だけは間違いなさそうです。)

更に、Unsplashではプロの写真家への写真提供を積極的に募るという活動は行っていないようですが、自ら進んで写真を提供してくれた写真家の中には、自分のサイトへのアクセスの増加、新たな仕事依頼などに繋がったという話もあるといいます。

開発者の世界でも、プログラムのソースを公開するオープンソースの動きが技術の進展へと繋がり、今の便利な世界を作り上げてきました。短期的に見ればデベロッパーにとっての利益は薄いかもしれませんが、長い目で見ると、何倍にもなって返ってくる事もあります。
Unsplashとしては今後も写真家に写真の無償提供を推奨する事はせず、クリエイターが自ら考えて、損よりも得する事が大きいと判断した場合にフリー素材の提供をする道を選択して欲しいというスタンスのようです。

内容をざっくりと意訳しましたが、原文で読みたい方はこちらからどうぞ:
http://imluke.me/post/101433365045/on-unsplash

他にも、Unsplashは現在、写真集を制作している過程で、発売後はその売り上げの一部を写真家たちへ還元するようです。こういった活動を見ても、ただクリエイターから無償で写真を提供してもらうだけで終わらせずに、何らかの形でお返しをする事を常に意識している事が伝わってきますね。

僕も一人のクリエイターとして、何でもかんでも無償で提供しなければいけないムードには抵抗がありますが、このようにクリエイターへしっかり還元される新しいシステムへの取り組みは嫌いではありませんし、応援したい気持ちです。既にもう何年も、無料でアプリを提供し続けてきている事からも、フリーミアムのビジネスモデルそのものには抵抗はありませんし、今後もこの流れは加速する一方だと感じています。

時代の変化へ適応するのもクリエイターとして生き抜く為には大事だと思います。
Lukuさんも言っているように、最終的にはクリエイター各々がどうするべきかを判断しなければいけない問題なので、これという答えはありませんが、このようにフリー素材を扱う立場の人間の意見を聞くことで考え方が変わるクリエイターもいるかもしれませんね。

ちなみに、先日@kazuendさんの写真がUnsplashのFEATURED(おすすめ)に選ばれました!これは10日に一回、10枚の写真しか選ばれない目玉コーナーなのですが、Kazuさんは今回2枚も選ばれていました!
ここに載ると必然的に閲覧数も多くなるわけですが、Kazuさんから提供して頂いた情報によると、1日で約1万ダウンロードの勢いで伸びているそうです。このコーナーは10日間は次の写真が更新されないので、しばらくの間は勢いは大きく落ちない事が予測できます。FEATUREDに選ばれた写真はこの先も長い間、多くの人達の目に触れるチャンスが高まるので、長い目で見れば軽く数百万人の人に見てもらえる事になるでしょう。
毎週、何千枚とアップされている写真の中からFEATUREDに選んでもらうのは決して簡単な事ではないですが、自分の写真を世界中の人たちに見てもらう手段はそうそう無いですから、写真家として名を売っていきたいと考えている方はチャレンジする意味があるはずです。

写真提供に興味のある方は、こちらの記事を参考にしてください:
>> 【クリエイター必見】趣味で撮った写真が作品のプロモーションに役立つ!?フリー素材写真サイトを利用したPR方法!


0 コメント: