カナダのシリコンバレー!?モントリオールがスタートアップの新拠点になり得る理由。

11/13/2014 Leo Rivas(リオ・リーバス) 0 Comments

現在、カナダ・モントリオールで起業を目指して準備を進めております。
>> 6年目の転機〜アプリ開発者としての再スタートと終わりなき無謀な挑戦〜

今回はモントリオールという街がスタートアップにどれだけ適した環境であるかについて少し書いてみようと思います。

先に言っておくと、モントリオールは現時点ではまだ「スタートアップの新拠点」とまで言えるほどの存在にはなっていませんが、そうなり得る要素とポテンシャルを秘めている事は確かで、今後もっと注目を浴びる都市になるんじゃないかと思っています。

とりあえず、モントリオールのどこがそこまでスタートアップにとって素晴らしい街なのかを簡単にリストアップしてみました。深く掘り探ればもっとあるんだと思いますが、ざっくりまとめるとこんな感じです。

・競争率の低さ
・政府のサポート
・物価/家賃/生活費の安さ
・法人税の安さ
・R&D(研究開発)減税率の高さ
・街のコンパクトさ

以上の6つが主なメリットです。

それでは、一つ一つを分かりやすく解説してみたいと思います。

【競争率の低さ】
シリコンバレーはスタートアップの聖地と言われるだけあって、起業に挑戦しようと試みる猛者達が世界中から集まってきます。その連鎖こそがシリコンバレーの地位を揺るぎないものにしているのでしょうが、同時に、競争率がどんどん高くなる一方である事も事実なのです。投資家やベンチャーキャピタルといった投資会社にも流石に出資できるお金には限度がありますから、競争率の高い場所では資金調達のハードルが高いのも当然です。
とはいえ、お金が集まる場所でなければそもそも資金調達など出来るはずもないですよね?つまりは競争率がそれなりに低い割に「お金」が十分集まっているような場所こそが狙い所となるわけです。そして今、モントリオールに注目が集まっている理由は、まさにそのバランスが絶妙な都市だからです。

【政府のサポート】
移民の国であるカナダは国外から優秀な人材を集める事に意欲的です。「Startup Visa(スタートアップ・ビザ)」という、カナダで起業してベンチャーキャピタルから一定額の投資を受ける事に成功した者に対して、永住権取得を優遇するような事も積極的に行っています。このような動きもモントリオールに多くの起業家、そして投資家やベンチャーキャピタルを寄せ集める要因の一つになっているのだろうと思います。

【物価/家賃/生活費の安さ】
シリコンバレーの平均家賃は$2,615であるのに対して、モントリオールの平均家賃はわずか$800と、実に3倍もの差があります。
更にモントリオールがあるケベック州の電気代はG7諸国の平均より30%安いという所もポイントです。北米の主要都市の中でも物価がダントツに安く、生活費も大幅に抑える事ができます。限られた資金を無駄なく効率的に運用する上でこれ以上の環境はないと言えるでしょう。

【法人税の安さ】
ケベック州の法人税は実効税率26.9%(国税15%+州税11.9%)と、シリコンバレーのあるカリフォルニア州の実効税率40.75%より圧倒的に安いのです。日本の実効税率もアメリカに続いて世界2位の36.99%と、ケベック州とは10%もの違いがあります。これもまた新たな事業をはじめる上で考慮しておくべきポイントの一つです。

【R&D(研究開発)減税率の高さ】
R&DとはResearch & Developmentの略で、研究開発にかかった費用に対しての減税率の事です。これは新技術の開発から既存の製品や技術の改良などが対象になり、全般的に物づくりに関わる企業であれば多くの場合適応される減税制度になります。中小企業か大企業かによって税率は異なるようですが、ケベック州では17.5%〜最大35%までR&D減税が可能らしいです。日本は8〜12%なので、”最大"減税率がケベックの”最低"減税率よりも少ない事になります。ケベック州がそれだけイノベーションに力を入れているという姿勢がよく分かる数値だと思います。

【街がコンパクト】
モントリオールは近代都市でありながら、とてもコンパクトにまとまった街です。市バスや地下鉄といった公共交通機関も充実していて、650キロにも及ぶ自転車専用レーンなども街中に渡って設置されています。
日本は都内の平均通勤時間が58分という調査結果が出ていますが、多くの人が往復で一日約2時間の時間を通勤に費やしている事になります。モントリオールの平均通勤時間は30分なので、東京と比べると、一日1時間もの違いがある計算になります。ちなみにサンフランシスコの平均通勤時間は片道42分との事ですが、渋滞に2時間以上はまるような事も稀ではないそうなので、実際には平均値以上の差があるようにも思えます。やはり効率化という意味でも、街がコンパクトである事の利点は大きいのではないでしょうか。

【デメリット】
良い事ばかりを並べるのもどうかと思うので、思い当たるデメリットについても軽く触れておきます。それは「冬の寒さ」と「公用語がフランス語」である事です。
冬はマイナス30度(体感温度マイナス50度)まで冷え込む極寒の都市です。とにかく寒さが苦手という人には不向きな街だろうと思います。気温に関して言えば、サンフランシスコには太刀打ちできません。ただ、寒い地域だけあって、暖房設備や優れた防寒着は充実していて、弱点を克服するだけの体制は十分整っています。暖房費が家賃に含まれている事が多いため、冬でも暖房費を気にする事なく生活できるのは逆にメリットとも言えます。日本にいた頃は暖房費をケチって家の中でも寒い思いをして暮らしていましが、モントリオールでは外がどんなに寒くても家の中はTシャツ一枚で快適に過ごせます。

もう一つの公用語の問題ですが、フランス語は出来ないよりは出来た方が断然生活しやすいのは間違いありません。しかし、バイリンガルな街なので、市内であれば9割くらいの人は英語も話せます。英語さえ抑えておけばまず困る事はないでしょう。少なくとも僕はこの半年間で、フランス語が出来ない事で窮地に立たされるような状況になった事は一度もありません。それでも一応フランス語を学ぶ為に週一で学校に通っていて、最低限は話せるようになりたいと思っています。大人になってから新し言語を取得しようとするのはなかなか大変な事ですが、絶対に無理な事ではないので、時間をかければいつかは身につくものだと思います。

考えようによっては上記のデメリットはどちらも物理的に克服できない問題ではないので、努力次第でなんとかなる程度の問題とも言えます。物価や法人税はどうあがいても個人の力で変える事はできませんが、環境に適応する事は個人レベルでどうにかなる問題ですよね。

【まとめ】
以上の事を踏まえた上で、今、世界の中でもスタートアップを成功させ、ビジネスを発展させるポテンシャルとチャンスに恵まれた環境の一つとしてモントリオールは注目するに値する都市だと思います。
もしも日本から飛び出して別の国で新しい何かをはじめたいという野心を持っている方は、シリコンバレーだけではなく、ありとあらゆる国や都市に目を向けてみる事をおすすめします。そして、モントリオールも一つの候補地として検討してみてはいかがでしょう?

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