iBookstore VS Kindleストア!出版側から見た両ストアのメリット・デメリット!

4/11/2013 Leo Rivas(リオ・リーバス) 5 Comments

iBookstoreで本を販売しはじめてから約3週間が経ちました。Kindleストアはもっと前から販売しているので、なんとなく両方のストアのメリットやデメリットが見えてきたので、少しまとめてみようと思います。

【Kindleストア > iBookstore !?】
今のところiBookstoreよりもKindleストアの方が少し多く売れる傾向にあります。あくまでも僕が出しているごくわずかの本の比較なので、あまりたいしたデータではありませんが、個人レベルの出版として見れば少しは参考になるかもです。

やはりiOS機種のみのiBooksよりも幅広く対応しているKindleの方が圧倒的に強いのも大きな原因の一つではないでしょうか。Kindle端末以外にもiOS端末やAndroid OS搭載の端末でもたいがいのスマートフォンに対応しているところは大きな強みであるはずです。

【iBookstore > Appstore !?】
といいつつも、絵本「ズズのズッキーニ」はApp Storeで3年かけて達成したダウンロード数をiBookstoreではわずか2週間で突破しています!それでも3000ダウンロード程度の話なんですけど(^^;;
(ズズはApp Storeでは最初から無料だったわけではありませんが、今年の1月からはずっと無料なので、大体3ヶ月のアドバンテージがありました。)

規模は小さい話ですが、「絵本」というジャンルとしては結構な勢いでダウンロードされてる方だと思います。一日200〜300人の新しい人に自分の本を読んでもらえるわけですから!

*ちなみに最近ではiBooksで出せるようなブックアプリに関しては審査に通らないとの話も聞きます。アプリでなければいけないような仕掛けでもない限りはiBooksで出すように指示されてるそうですので、今後はApp Storeでは普通の電子書籍は出せなくなりそうです。


【iBookstoreは今ならランキング上位に入りやすく残りやすい!】
まだはじまって間もない事もあるのでしょうが、無料ならば一日300ダウンロードもあれば無料総合ランキングのトップ20位内には余裕で入れます。そして一度上位に食い込むとなかなか簡単に落ちません。まだまだ新しい本の見つけ方というのが確立していない事もあって、基本的にはランキングを見て本を探している人が多いのだと思います。なので一度トップの位置に入れば、とりあえずしばらくは居座れます。
「ズズのズッキーニ」はもう3週間経ちますが、ずっと総合11位〜20位あたりを上がったり下がったりしています。宮沢賢治や夏目漱石などの名作ぞろいの中でそこまで健闘できている事には驚きですが、表紙が目立つというのも一つの強みかもしれません。今のところ暖色系の明るい表紙の本が無料ブックの中では少ない事もあって、ズズの表紙は引き立つんですよね。そういうところも意識して表紙を作ると良い効果が期待できるかもしれませんよ!


【Kindleストアで独占すべき?両ストアで出すべき?】
Kindleストアは独占販売をしない限り、印税は35%しか貰う事ができません。独占にすると70%になります。ただ、両方のストアで売る為には独占には出来ないので35%の選択肢しかありません。つまり、同じ本をKindleとiBooksで出して、Kindleの方が2倍多く売れたとしても、利益はまったく同じという事になってしまいます。
Kindleだけで出すべきか、両ストアで出すべきか、迷うところですね。

同じ本をiBookstore、Kindleストア両方で出す場合、
Kindleの方がiBookstoreの倍以上の数が売れるようなら、Kindleで独占販売にした方がお得。
倍以下なら両ストアで出した方がいい、という事になるんじゃないでしょうか。
流れとしては、まず両ストアで出し、Kindleの方が倍以上売れている場合はiBookstoreの販売を中止し、KDPセレクト(独占販売)に登録する、という順序が良いかもしれません。KDPセレクトは一度登録すると90日間は独占状態を保たなければいけない条件があるので、入るのは一回両方のストアの動向を見てからでも遅くはないでしょう。

【iBookstoreの本を少し安くするといいかも?】
一番理想的なのは両ストアで出しつつも、70%印税率のiBooksの方がより多く売れる事です。一つのやり方としては、iBookstoreの本は若干価格を安めに設定して、お得感を生み出す事で、選択肢のあるユーザーにはなるべくiBooksの方を買ってもらえるようにする事だと思います。本当は大手出版社もそうしてくれると、いずれKindleも対抗して独占条件を緩めてくれるんじゃないかと勝手に想像しているんですけど…(^^;;
まあ今でもiTunesカードを割引で買える時に買ってしまえば、実質普通より安く買える事は確かなんですけど。


【iBookstoreの良いところ・悪いところ】

iBookstoreの良いところ:
・条件無しに70%印税!
・無料配信ができる。
iBooksは本を読み終わると同じ作者の他の本が自動的に紹介されるので、別の本に繋げやすく、無料の本はプロモーションとしても活用できる
・サンプルの長さが自由に設定できる!
Kindleだと自動的にサンプルが作られるので、目次などで終わってしまう場合も多いのですが、iBooksはサンプル自体を一つのファイルとして作るので、好きなところまで読ませる事ができます。作る手間は増えますが、確実に読者を引き込ませるところまで読ませられるのが大きいです!

悪いところ:
・審査が長い・・・。
中には数時間で審査を通過したという方もいるので、必ずとは言い切れませんが、今のところ僕が3冊出した経験上では、3週間ほどかかりました。一冊は2回審査に落ちて、その度に再審査の結果が出るまで1週間ほど待たされ、結果的にリリースまで1ヶ月以上かかっています。人(本)それぞれなのかもしれませんが、確実に半日〜1日で本がリリースされるKindleと比べると、審査の遅さが最大のデメリットと言えます。


【Kindleストアの良いところ・悪いところ】

Kindleストアの良いところ:
・審査が短い!(平均12〜24時間)
・対応機種が多い!(より多く売れる可能性が高い)
・サポートが早い&丁重!
Kindle出版をして一番感動したのはサポートのレスポンスの早さと丁重さです。大体数時間以内に何らかの返事がきます。対応に時間がかかる問題でも、いつ頃までに調査してまた連絡します、のような内容のメールを送ってくれて、実際はそれよりもっと早く対応してくれる事が多いです。メールそのものも固定文ではなく、人が書いている事が感じられる文章で、担当者の本名も書かれているので、人とのやり取りをしている感じが伝わります。Amazonは著者に対しても「大事なお客さんの一人」として扱ってくれている印象が持てました。アップルはサポートが悪いとまでは言いませんが、どちらか上から目線な対応が多い印象です(笑)まあそれもアップルらしいと言ってしまえばそれまでなんですけどね...(^^;;

悪いところ:
・独占販売にしないと印税率35%
・自由に無料配信ができない。
独占販売にすると90日のうち5日だけ無料配信ができますが、それが限度です。両方のストアで出す場合はまったく無料で配信するという選択肢はありません。
・容量制限が厳しい。
画像一つの容量の大きさだったり、ある一定の容量を超えると販売価格の最低ラインが上がったりと、容量に注意しなければいけない部分が大きいです。漫画だったり写真集などを安く売る事は現実的に厳しくなります。
・制作ツールやシステムが不安定・・・。
公式のツールが使いづらかったり、システムにバグが多かったりするのが大きなネックです。出版するハードルはかなり低くて個人でも参入しやすい市場のはずなのですが、電子書籍を用意してアップロードするまでの複雑さが一番厄介なところなのかもしれません。


【まとめ】
両ストアそれぞれに良いところ悪いところがあり、ある意味バランスはとれているのかもしれません。とはいえ今回の比較は基本的には著者(出版する側)から見た良い点・悪い点であり、ユーザーからしてみたらそんなに関係のない話かもしれません。読者視点であれば、購入のしやすさ、本の読みやすさ、管理のしやすさなど、電子書籍アプリとしての機能を重視するでしょうから。どちらかと言えば、今後どちらのストアが支持されていくかはユーザーによって大きく変わると思います。
電子書籍市場の本格的な戦いはこれからですが、ほどよくお互いを刺激し合って両方がより良いストアになっていって欲しいものです。どちらかが潰れてしまっては困りますので(^^;; 上手い具合に共存してくれる事を願います。


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5 件のコメント:

  1. このブログ、大変ためになりました。質問、いいですか? 
    高校生を主なターゲットとして電子書籍出版を考えています(実用書)。Kindleの70%独占契約で売るか、iBooksで売るか、悩んでいます。高校生を対象としているのであれば、スマホで手軽に買えるiBooksに力を入れる方が良いような気もするのですが、どうでしょうか?
     
    それと、内容を少し変えて(30%くらいの内容の入れ替え)、Kindleの独占契約にひっかからないことを願って両方で出版する、というせこいことも頭をよぎるのですが、こういうことは可能でしょうか? Kindleのチェックに引っかかるのでしょうか?
     
    いろいろな経験をお持ちのようで、これからも質問させてください。 よろしくお願いいたします。

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    1. 内容を少し変えて両方を出版するのは恐らくそこまで厳しくチェックしていないので、問題なく回避できるでしょうが、責任は持てませんので推薦はできません。
      iBooksかKindleのどちらかを選ぶのであれば、断然Kindleの方をおすすめします。確かに
      iBooksは直接購入できるメリットは大きいのですが、電子書籍という市場で大きくリードしているのはKindleだと思います。主なターゲットが高校生という点ではもう少しリサーチが必要かもしれませんね。

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  2. 同じような質問をされている方を他にも見つけたので、付記させて頂きますと、KindleとiBooksの両方で出版する、というのは、共に70%印税で、ということです。 Kindleの独占契約にひっかかりそうですが、しかし、同じモノでなければこれに該当しないのでは、という言い訳もききそうです。
     
    ただ、肝心のiBooksの方が、うまく登録できません。EIN番号を取り寄せ始めたところです。この点についても、また質問させてください。たびたび、失礼しました。

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    1. 登録に関しては、少し前の記事なので変わっている点もあるかもしれませんが、アプリ開発者として登録するのとそこまで手順は変わらないはずなので、こちらの記事も参考になるかもしれません:
      iOSアプリ開発者になるまでの手順(http://www.studioloupe.com/2013/04/iOSDev1.html)

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  3. Google Chromeへのログインがうまくいかず、匿名の投稿になりますが、上記の隆景です。早速の返信をありがとうございました。
    Kindle、圧倒的なんですね。 他のブログでもそのような記事がありますね。 いろいろとトライさせてもらいます。 まずは、肝心の本を完成させないと。 またコメさせて頂きますね。 今後とも、よろしくお願いいたします。

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