Kindleで絵本を出版してみた!Kindle出版は本当に簡単か?大まかな手順と注意点まとめ!
先日発表した新作絵本「マヤとカラス」を今度はKindleで出版してみました!
Kindle版「マヤとカラス」はこちらから購入する事ができます!
100円です♪
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Kindle出版に関してまったくの知識ゼロの状態からとりあえず本を公開できるまでにかかった時間は24時間でした。しかし、初回のリリースはレイアウトなどが予想外に酷い状態だったため、2日目に二度目のチャレンジをしてようやく成功したという流れです。なので、ちゃんとした形にするまでには実質2日かかった事になります。それでも何も分からない状態からのスタートと考えると割と短時間で出来たのかなと思います。一回やり方が分かった今なら、コンテンツさえ出来上がった状態であれば、Kindleのフォーマット(MOBI形式)への変換からストアへのアップロードまでの一連の作業は15分もあればできるはずです。
とりあえず、今回Kindle出版をするにあたって学んだ事、覚えておきたい注意点などを簡単にまとめようと思います。
ステップ①【最初にすること:アカウント登録】
まずは「Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)」でアカウント登録をしましょう。これをしないとKindleストアで本を販売できません。
KDPへの登録はコチラから:
こういう手続きをした事がない人にとってはいきなり難問かもしれません。iOSアプリ開発者の登録をした経験がある人ならあっさりと通過できるポイントだと思いますが、はじめての方は、アメリカの会社からお金をもらう事になるので、税金関係の書類などの手続きを済ませなければいけません。これをしないと(そもそもしないで販売できるのかは分かりませんが)売り上げからアメリカに30%の源泉徴収をされます。その上に日本でも微収されるので、100円で本を売った場合、大体20円程度しか手元に入らない事になります。それでも紙の書籍だと多くても10%くらいの印税しかもらえないので、倍の20%と考えれば多いと言えば多いのかもしれませんが、手続きさえ済ませれば30%台の収益になるのですから、頑張る価値はあります!
ここでは詳しい方法は書きませんが、「KDP 登録」などで検索すると色々と参考になる情報が見つかるはずです。
ステップ②【書籍データの準備】
ステップ①は最初の一回だけ済ませれば次からは必要のない手順なので、ある意味ここからが本番です。
書籍データの準備というのは、Kindleストアで販売する為に書籍をKindle専用のフォーマット、MOBI形式のファイルに変換するという作業です。これの厄介なところは、やり方が色々とあって、ベストな方法を見つけるまでに時間がかかった事です。
まず、なかなか情報が見つけられなかった事に、今回僕が作ろうと思った「絵本」というジャンルが少し特殊という事もありました。単純に「文字」だけの本などであれば、Wordの.docファイルやPagesからEPUB形式に書き出せば、そのままKindleストアにアップロード出来ちゃうみたいで、細かい設定などを気にしなければかなり楽に出版できそうな印象です(実際には文字の本は出版していないので分かりませんが)。
今回の「絵本」は全てが画像(文字も画像に書き込まれたもの)なので、とにかく何枚もの画像を順番に並べていきたいだけの事なのですが、これが意外になかなか上手くいきません。画像ベースの本なので、見せたいように見せる、という事が重要になってくるからです。
一番ひっかかったのが「余白」と「レイアウト」でした。そもそもKindleには色々と機種があって、それぞれ画面のアスペクト比がバラバラだったりで、更にiPhone・iPod touch・iPadなども画面サイズが違うので、全ての機種でピッタリ画像を収める事は諦めるしかないのですが、できるだけ無駄な余白は無くしたいところです。
一回目はAdobe InDesignを使ってMOBIフォーマットに書き出したのですが、設定が悪かったのか、かなり無駄に余白があり、見栄えが良くありませんでした...。
調べて分かったのは、MOBIフォーマットにはレイアウトの方式に2パターンあるという事。一つが「リフロー型」といって、文字のサイズやフォントの変更に合わせてページのレイアウトが自動的に変更するというもの。主に文字ベースの本でこのスタイルが使われているのですが、画像ベースの本でこのリフロー型の設定のままだと、画像も同じように勝手にレイアウトされてしまって、思った通りに表示されない可能性が高くなります。1ページに4枚もの画像が表示されてしまった失敗の原因はこれでした。
勝手にレイアウトされる事を回避する為には「固定レイアウト型」にしなければいけません。
InDesignを使ってこれをしようと試みたのですが、なかなか上手くいかず、別の方法を模索する事にしました。
最終的には、Amazonが提供しているツール「KindleGen」と「Kindle Previewer」を使って必要な素材ファイルを作成する手段を取りました。
Amazonが提供している公式のツールなので、最初からこれでやれば良かったのですが、ターミナル(コマンドライン)を使ったり、HTMLをいじったりしなければいけなくて、まったくプログラム知識が無い人にはちょっとハードルが高い気がします。せっかくなら一番簡単な方法を紹介したいと思い、できるだけ誰でも出来そうな方法を模索したのですが、残念ながら今のところは簡単で無料で尚かつ、固定レイアウト型の本(絵本、写真集、漫画など)を綺麗にフォーマットできる方法やツールは無いんじゃないかと思います。AppleのiBooks Authorのような無料で誰でも簡単に電子書籍が作れるツールをAmazonが作ってくれる事を期待したいところですが、コマンドラインを使わないといけないようなツールを提供している時点で、すぐには厳しいように思います。そもそもKindle Previewerにしても、Kindleストアにしても、あちこちバグだらけなので、せめてそのへんだけでも直して欲しいところです。
「誰でもお金をかけずに簡単に個人出版ができる時代!」と言うにはまだちょっと早いような印象を受けました。
なんにしてもKindleGenを使ってゼロから素材ファイルを作る解説は最初から分かりやすく説明しようとすると結構な分量になるので今回は詳しくは書きませんが、余裕がある時に単体の記事としてまとめたいと思います。他にも参考になるサイトは沢山あるので、「KindleGen」あたりで検索すれば色々と見つかると思います!
ステップ③【KDPにMOBIファイルをアップロード】
書籍のデータの用意さえ出来れば、あとはKDPにファイルをアップロードするだけです!
アップロードそのものはKDPのサイトから特に迷う事なく、すんなりできます。アップロードと同時に、書籍のタイトルや著者の名前の入力や、カバー画像のアップロード、説明文、カテゴリー設定、ページをめくる方向、価格設定など、それなりに入力する項目があります。
アップロード時に、英語の本なら12時間、それ以外の言語だと48時間まで審査に時間がかかるとメッセージが出ますが、実際には日本語の本で十数時間、英語の本で6時間くらいという印象です。僕は絵本を日本語版と英語版と、どちらも3回ほどアップし直したのですが、毎回そのくらいの時間で審査が終わりました。まあこれは、時と場合によって変わるでしょうから目安程度とお考えください。
配信スタートのメールがAmazonから届いたら、Kindleストアで販売が開始します。あとは頑張って宣伝したり、売れてくれる事を祈るばかり!
ここから先はKindleで本を出す上での注意点のまとめです:
【アップデートの注意点①】
一番注意したいのが、本をアップデートする時!手順そのものは最初のアップロードと変わりませんので、難しい事はありません。問題は、Amazonのバグによって、本をアップデートすると、何故か「利用可能な端末」に制限がかかるようになってしまう事があるようなのです。必ず誰にでも起こる現象なのかは分かりませんが、僕の場合はどちらの本でも起こりました。Kindle Paperwhite, iPod touch, iPhoneでの利用ができなくなってしまいました(T_T)
実際、iPhoneやiPod touchに転送しようとしても、この端末には対応していませんというエラーメッセージが出てしまい、ダウンロードする事ができません。
当然、アップデートする上で色々とファイル側に変更を加えているので、最初はAmazonのバグとは思わず、こちら側で行った変更にミスがあったと考えてしまい、どうすれば直るか何度もファイルをいじったり、ネット上で解決策はないかと探すのにかなりの時間を費やしました。
結局分かった事は、これはKindleストア側のバグで、アップデートすると一時的に利用可能端末に制限がかかってしまう事があるというものでした。どうやらしばらく放置していると直るらしいです...。僕の場合は約12時間後に再度試したらダウンロード出来るようになっていました。しばらく経っても直らなかったら直接Amazonに連絡してみるしかないかもしれません。
[追記] KDPセレクト(税率70%)に登録した本は通常(税率35%)の本よりも審査時間が長いようです。2回のアップデートを行いましたが、日本語の本だと24時間ほどかかりました。同時にアップデート申請をした非登録の本は半分の時間で審査が通りました。"独占販売" の条件をクリアしているかの追加の審査が行われている可能性が高そうです。
[追記] KDPセレクト(税率70%)に登録した本は通常(税率35%)の本よりも審査時間が長いようです。2回のアップデートを行いましたが、日本語の本だと24時間ほどかかりました。同時にアップデート申請をした非登録の本は半分の時間で審査が通りました。"独占販売" の条件をクリアしているかの追加の審査が行われている可能性が高そうです。
【アップデートの注意点②】
現在の仕様では、Kindleの本はApp Storeのアプリのようにユーザーが気軽にアップデートをする事ができません。新しいバージョンが出ても、それにアップデートするという選択肢がないのです。とはいえ、方法が無いわけではありません。手間がかかるのと、少し時間もかかりますが、可能ではあります。
Amazonカスタマーサービスに連絡して、新しいバージョンをダウンロードしたいと伝えなければいけないのです。これの面倒な所はアップデートしたい端末ごとに別々にメールを送らないといけない事です。Kindle FireとiPhoneとiPadを持っていたら、3回同じメールを送る必要があります。
詳しい方法はこちらのサイトが参考になります:
将来的にもっと気軽にアップデートできるようになるかもしれないし、しばらくこのままの仕様で続くかもしれません。少なくとも現在は、出来る限り購入者にアップデートの手間をかけさせない事が大事だと思います。そもそもアップデートをしても購入者に自動的にその情報は渡らないですし。あとからアップデートすればいいや、という軽い気持ちで気楽に出版する事は避けた方が良いでしょう。
【印税率と本の容量と価格設定の注意点】
Kindle出版では、デフォルトでは印税率は35%です。ですが、「KDPセレクト」に登録すると印税率は70%にアップさせる事ができます!ただし、KDPセレクトには色々と条件がある為、慎重にならなければいけません!
一番の注意点は、KDPセレクトに登録すると、『90日間*Amazonで独占販売をしなければいけない』というところでしょう。(*KDPセレクトに登録している限り、90日経っても独占状態が解けるわけではなく、90日ごとに更新するというだけで、実質70%を貰う代償として常にKindleストアで独占販売しなければいけないという意味だそうです。鈴木みそ先生にご指摘いただきました。感謝!)
ただ、これは紙の本(製本版)は対象外らしいので、紙として書籍化する事はOKのようです。要するに、他の電子書籍ストアやiOSアプリなど、デジタルコンテンツとして販売する事が禁止されてしまうという事です。僕はiOSアプリでも出す予定なので、KDPセレクトには登録しませんでした。
ただ、これは紙の本(製本版)は対象外らしいので、紙として書籍化する事はOKのようです。要するに、他の電子書籍ストアやiOSアプリなど、デジタルコンテンツとして販売する事が禁止されてしまうという事です。僕はiOSアプリでも出す予定なので、KDPセレクトには登録しませんでした。
ちなみに製本版がある書籍の場合は、製本版よりも20%以上安い価格設定にしなければいけない条件も付きます。
もう一つの注意点は「価格設定」に制限がかかる事です。
印税率35%の設定だと、価格設定が最低99円から最高20,000円まで広範囲で設定できます。
*ただし、99円~199円で販売できるのは本の容量が3MB以下のもので、3MB以上になると最低価格が200円になります。そして、10MB以上になると300円からになります。上限は変わりません。
しかし、KDPセレクトに登録すると、最低価格が250円、最大で1,250円と価格設定の幅が縮まります。上限はともかくとして、最低価格が250円というのは無名の作者だとなかなか買ってもらいずらい価格なので、インディーズ作家には厳しい制限ですね。その代わり、90日間のうち、5日間だけ無料配信を行う事ができるそうなので、上手く活用すれば宣伝効果に繋がるかもしれません。
更に、KDPセレクトの場合、印税が70%もらえる代わりに、1MBあたり1円の配信コストが差し引かれる事になります。容量が小さい本ならともかく、例えば容量が大きい50MBの本だとしたら、販売価格から50円引かれた価格の70%という計算になります。本の容量によって引かれる配信コストを計算に入れた上で価格設定を考えなければなりません。
70%の印税は魅力的ですが、何かと条件が多く細かいので、よく考えた上で登録する事をおすすめします。
App Storeは独占条件もなければ配信コストもかからず、価格もいつでも無料にしたり有料にしたり出来たり、自由度が高いのが魅力的ですね。それで同じ70%の手取りが貰えるわけですから。早く日本でもiBook Storeがはじまればいいのにと思ってしまいます。
とはいえ、このように個人が1日〜2日の短期間で自分の書いた本を世界に配信できてしまうというのはやはり凄い事だと思います。オンラインブックストア最大手のAmazonにはこれからも電子出版界を盛り上げて欲しいし、Appleも今年こそはiBook Storeを日本でも本格始動してくれないかと期待が膨らみます。
物を書く人は、この波に乗らないのは勿体ないと思います!是非チャレンジしてみてくださいね!
最後に、「マヤとカラス」の英語版もあるので、興味のある方は是非♪
ただ、個人的にはPDF版かそのうち出る予定のiOSアプリ版をオススメします(笑)
アプリ版はナレーションとかも入る予定なので!
どちらか、Kindle版はiOS端末を持っていない方の為と、Gumroadで買うのに抵抗がある人向けに作った感じです。あと、経験の為に出してみたかったというのもありますが(^^;;
値段設定が50円くらいに出来たらバランスが良かったと思うんですけどねぇ。
まあ、Kindleで絵本、写真集、漫画などを出す事に興味を持っている方は参考までにサンプルだけでも見てみてください!
ヨロシクです!
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