権利とは正義なのか!?〜権利問題についての考えをまとめてみた〜

1/24/2013 Leo Rivas(リオ・リーバス) 0 Comments

先日、ちょっとした事が切っかけで、だいぶ昔の「SUSOKU」というゲームの記事が少し話題になりました:

様々な意見を頂き、「参考になった」という声もあったり、SUDOKUという商標権のアプリ名前に似せた事にも非があるとのご意見なども頂きました。
もう作ってから3年近く経つアプリという事もあって、当時の考えや狙いなど100%覚えていない事もあるのですが、まずその件について少しお話します。

このアプリのネーミングは確かに「SUDOKU」からヒントを得ていますし、オマージュ的な気持ちも込められていますが、当然、人気ゲームであるSUDOKUに似た名前で少しでも人の目を止めて、ゲーム内容を見て欲しいというもくろみがあった事も確かです。これは騙そうといかそういう気持ちはなく、純粋に当時、色々と試していたマーケティングの実験の一つでもありました。(一応、ゲーム内容的にも数と数を結束させて「数束」という意味のあるタイトルでもあります)

当時はまだまったく売れない開発者でしたから、宣伝なんかをするお金もありませんでした。AppStoreで少しでも目立つ為には、アイコンとアプリ名のインパクトが全てと言っても過言ではありません。このアプリでコケたらアプリ開発は最後にしようと決めて出した作品でもあったので、多少は問題になり得る可能性を考えていなかったわけではありませんが、それだけ崖っぷちの状態であったという事です。幸いにもSUSOKUの成功によって開発者生命が伸びる事になるのですが、それから一年以上してアプリそのものがまったく売れなくなった頃になってニコリさんからの連絡があった...という流れで、結果的には「見間違い」で済んだ事と、それ以上踏み込んでこなかった事からも、ニコリさん側は類似の名前にまでは文句を付けてこないという事が分かり、とりあえずアプリ名は変えずにそのままの状態で更に一年以上が経って今に至る、という感じです。

とはいえ、人それぞれ考え方は違うでしょうし、賛否両論あるのは間違いありません。僕は何が正しいかという話をするつもりはありません。ですがせっかくなので、僕なりの “著作権・商標権” 問題についての考えをまとめてみたいと思いました。興味があればどうぞこのまま読んでみてください。


まず、著作権や商標権、特許などをひとくくりにまとめると全て「権利問題」になりますが、実はSUSOKUというアプリは実は権利の侵害を訴えられた事とは別に、こちらから訴えるという出来事もあったのです。ちょっとした問題児アプリですね...(具体的には3度問題を起こしているのですが(^^;; 権利問題とは関係ない話はここでは省きます)

僕が訴える事になったのは、名前の事ではなく、ゲーム内容についてです。簡単に言えば、大手の企業にSUSOKUのゲーム内容そっくりのゲームを出されてしまったという話です。具体的な事はこちらの記事をご覧ください:

貧乏開発者である僕がいちいち自分のゲームの特許など取れるはずもないので、当然SUSOKUも例外ではありません。フリックフリークスがSUSOKUをヒントに作られたかどうかを証明する事は出来ませんし、特許を持っていない以上、状況はとても不利です。仮にも法廷で戦ったとして勝てるかどうかも怪しい話ですし、お金も時間もなかった僕には戦うだけの体力もなく、ただ引き下がるしか道はありませんでした。

この出来事をきっかけに、権利とは一体なんなのか?と凄く考えさせられた事を覚えています。
特許、著作権、商標権、は本当に正義なのだろうか?
本来、権利とは力の無いクリエイターを守る為にあるものだと思っていたが、実際には力があるクリエイターに更に力を与えているだけで、弱いものはどんどん弱い立場に追いやられているだけではないのか...。

あの権利にうるさいディズニーでさえ、権利が切れた他人の創作物をいくつもオリジナルアニメ化して沢山の名作を生み出しました。ディズニーには凄い才能があったので、それらの作品を使わなくてもオリジナルの作品だけでもこれだけ大きな会社になっていた可能性は高いでしょうが、仮にも法律的に、白雪姫、不思議の国のアリス、ピノキオ、ピーターパンなどの著作権が永遠に無効にならなかった場合、これらの名作アニメは生まれなかったかもしれないのです。むしろ、今の時代でもこれらの作品が名作として語り継がれているのも、そうやって人から人に受け継がれてきたからこそではないでしょうか?著作物を権利でガッチリ守るという事は、世の中に素晴らしい作品が生まれるチャンスを潰す可能性もあるという事です。

だからと言って、なんでもかんでも好き放題できるようになればいいのか?というのもまた違うとは思いますが、どこまでをボーダーラインにするべきか、という問題はこれからの時代は余計に考えていかなければいけない事だと思います。

少なくとも、無名でお金もないクリエイター達が餌食になるばかりの現状はもう少し改善していく必要性を感じずにはいられません。これからの社会が権利問題とどう向き合って、どういう方向に進み、どう戦っていくべきなのか、一人のクリエイターとしても常に考えさせられるテーマの一つです。
難しいテーマですが、物作りをする・しないに関わらず、皆さんにも是非一度色々な視点で考えてみて欲しいと思います。

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