さよなら東京!〜スタジオルーペの2013年〜

12/29/2012 Leo Rivas(リオ・リーバス) 0 Comments

急な話なのですが、来年の2月に東京から離れる事になりました。ネットを通していつでも人と繋がっているような時代ですし、アプリ開発は世界中どこででも「Mac」と「ネット環境」さえあれば出来る仕事ですし、ほとんどのユーザーにとってはどこで作られたかなんて関係ないでしょうから、発表するほどの事でもないのかもしれませんが、一応、今後の活動の報告です。

移動先はとりあえず妻(@app_mama)の実家、岩手県の山田町になります。といっても、そこにも長く居座る予定ではなく、そのうち更に別の場所に移動する計画を立てている最中です。その移転先は今現在まだ具体的にどこかと公表するのには早いと思うので、また改めてご報告する形になると思います。

東京を出る理由としては、単純に言ってしまえば都会から出たくなったという事です。僕はもともと自然の多い場所で育ったという事もあり、若気の至りで大都会に憧れて出てきましたが、かれこれ7年ほど住んだ今となってはあまり魅力を感じられなくなってしまいました。子どもが出来た事の影響も大きいと思うのですが、また自然の多い場所で暮らしたいという気持ちがあり、子どもにもそういう環境で育って欲しいという想いから、家族で相談し合って決めました。

iPhoneアプリ開発者として4年以上続けてきて、それなりに安定した収入も得られるようになり、もう東京でなければいけないという理由が薄れてきたのもあります。とは言っても、我が家を長年支えてきたのは実は妻が会社員として安定した収入を得ていた事もあり、それは東京である必要があったため、これまでなかなか決断に踏み切る事が出来ない状況だったのも事実です。

しかし、今年の8月から妻がはじめた「AppMama - iPhoneアプリ開発者の妻」というブログが、おかげさまで軌道に乗り始め、まだまだ会社員としてこれまで稼いでいた給料には遠く及ばないほどの微々たる収入源ではありますが、幸いにも仕事を辞めてもまったく収入がなくならずに済むようになり、あと一歩踏み出せずにいた一歩をようやく踏み出す事が出来ました。仕事を辞める事で、妻も今まで以上にブログに専念できるので、もしかしたらそれなりに稼げるブロガーになるポテンシャルだってあるかもしれません。そこは正直、どうなるかは分かりませんが、僕がこれまで以上に頑張って良いアプリを作り、家庭を支えなければいけない事には変わらない事なので、ブログはあまり義務感を感じずに今まで通り好きなようにやって欲しいと思っています。

ここでもう一つ報告があります。「MagicReader」が国連主催のWSAアワードを受賞し、2月の頭にアブダビで表彰式に行くはずだったのですが、今回の引っ越しの件もあり、僕は授賞式に出席しない事を決めました。本来ならばこのような立派な賞をもらって出席しないというのも失礼な話なのですが、幸いにもGimmiQは2人組で、相方のいたの(@Kumanbow)さんが出席してくれるため、誰も行かないという事態にならずに済みました。

行かない事を決めた理由としてはいくつかありますが、一つは妻がまだ1歳半の子どもを連れて行くのは厳しいと考え、子どもと二人で留守をする事になった事です。12時間以上のフライトの往復、盛大なセレモニーの出席など、子ども連れではかなり大変な事になるのは目に見えています。行ったところで授賞式の最中に子どもが騒げば外に出ていなければいけないし、なかなか落ち着く事は出来ないでしょう。ただ、僕としては自分が賞を貰うよりも、長年、自分を支えてアプリ開発を続けさせてくれた妻にこそ授賞式に参加して欲しいという想いがありました。そして、ずっと苦労させてきたので、息抜きとして海外旅行も兼ねて連れて行きたかった気持ちがありました。正直なところ、失礼な発言かもしれませんが、僕自身はあまり賞を貰う事には興味はなく、作品である「MagicReader」が表彰された事は嬉しいですし、更に世界中の多くの人に知ってもらえる切っ掛けを与えてくれた事には感謝の気持ちで一杯です。だけど、主役はあくまでも作品であって、作った人間達ではないという気持ちがずっとあったため、妻が行かないと決めた時点で、僕自身がアブダビに行きたいという(行かなければいけない)気持ち、理由も同時になくなってしまいました。

正直な気持ちを言うと、ここ数ヶ月、クリエイターとしての自分は少し複雑な気持ちをかかえていたのも事実です。この一年は自分が夢に描いた「MagicReader」という作品が実際に形になり、沢山のメディアに大きく取りあげて頂き、世界中の様々な国で話題になり、Yahoo! インターネットクリエイティブアワードでノミネートされたり、WSAアワードの賞を受賞してアラブ首長国連邦に招待されるなど、MagicReaderの話題が途切れず盛り上がり続けてくれた事は心から嬉しい事でした。
しかし、それに伴う色々な作業が発生し、アプリの開発自体の時間が大幅に取られてしまい、本当に自分のしたい事が思うようにできないストレスも抱えるようになりました。Yahooの賞を取れなかった時は悔しかったのですが、逆に少し目が覚めたきっかけでもありました。自分が本当にしなければいけない事はなんなのか、本当にしたい事は何か、そういう事がハッキリと見えてきたのです。そういう意味では賞が取れなかった事は自分にとってプラスの出来事だったのかもしれないと考えられるようになりました。

つまり何が言いたいのかと言うと、僕は根っからのクリエイターで、物を作る事が大好きだし、それが一番得意とする事なので、その時間を取られる事が何よりも一番辛い事なのです。まだまだやりたい事も、やらなければいけない事も沢山あって、今それを全力で出来る場所は東京でもなければアブダビでもないという答えが出ました。アブダビに行くのは短期間とはいえ、いざ行くとなると色々な準備をしたり、滞在期間だけでも一週間なので、実質2週間以上は開発の手を止める事になります。その2週間で実際、世の中に発表できるほどの作品が生み出せるかどうかと言えば正直わかりません。ただ、2週間を最大限に有効に使えば、いくらでも物作りは出来ます。最近出した「Re-Notify」というアプリはたった一日で作ったアプリですし、これまでのアプリの平均開発期間も2週間前後の物がほとんどです。

更に言えば、ここ数年の間にリリースしてきたアプリの基盤となる部分(主にアイディアやデザイン)は都会ではなく田舎で生まれたものがほとんどだと言う事に最近気がつきました。妻の実家に行った時や、父の山小屋にしばらく滞在していた時などです。人それぞれ、創作意欲を沸き立てるのに最も適した空間というのはあると思うのですが、僕の場合はやはり自然の中でこそ力を最大限に発揮できるのではないかと思うようになり、クリエイターとしては少しでも早くそういう環境に身を置く事を優先しなければと考えました。

アブダビに行ける機会というのもそうそう無いですし、勿論まったく行きたくないという事でもないのですが、今現在の自分の中で一番のプライオリティとしては、もっと創作活動に力を入れたいという気持ちが上回り、身勝手な行動ではあるのですが、いたのさんにも理解して頂き、行かない事を決断しました。

そういうわけで、僕と妻はアブダビには行かないわけですが、いたのさんは予定通り行きますし、いたのさんのブログ(Ninebonz.net)でアブダビでの受賞式の事や、旅行記的なものをバンバン更新する予定だと伺っています。なかなか気軽に行ける場所では無いものの、実際そこまで旅費がかかるというわけでもないようなので、将来的に行ってみたいと考えている方は要チェックだと思いますよ!今、世界で最もバブリーで未来的な都市、ドバイのすぐ隣ですし、アブダビもかなり注目を集めている観光スポットの一つですから!
ブログについてはまた、実際に行く直前にでも僕の方からもう一度お知らせさせて頂きます。

しばらく少しバタバタした状況が続きますが、ちゃんと裏では新作アプリやアップデート作業なども着々と準備しています!来年も少しでもiPhone業界を盛り上げられるように頑張りたいと思うので、どうぞよろしくお願いします。

スタジオルーペ
Leo Rivas(リオ・リーバス)

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