妻との出会い【その4】~おまえは今まで拾ったウンチの数をおぼえているのか?〜

10/09/2012 Leo Rivas(リオ・リーバス) 2 Comments

花火大会の件で彼女の気持ちがますます分からなくなっていた。

誘って欲しいようなそぶりを見せたと思えば、次の瞬間、誘いづらい空気を作り出す。新潟に来たいと言ったと思えばドタキャンされる。もしや俺はこれまでずっと彼女の手のひらの上で遊ばれていたのか!?好意を持ってくれているように見せておいて、実はおいしいパンを貰い続ける事が目的なのか?

とにかく、これはもう少し時間をかけて気持ちを探らなければうかつに次の手を打つに打てない・・・。

冷静に考えてみると、新潟にしても花火大会にしてもいきなり誘うにしては少しハードルが高過ぎた事に気付いた。もっと手頃で小さなステップアップはないものだろうか・・・。

そんな時、父が夏休みにヨーロッパだかどこだか忘れたが、とにかく10日ほど家をあける時期があった。当然、その間は週末に新潟の手伝いをする必要もないので、週末の自由を手に入れた。これを利用して彼女との距離を縮めるためにどこかに誘わない手はない!

デートっぽい大げさ感がなく、さりげなく誘えて、いつもの公園で会うだけの関係からステップアップできるような、そんな適度に都合の良い場所はないだろうか?

頭をフル回転させて出した答え、それは代々木公園だった!
所詮は犬の散歩であるが、いつもの小さな公園と比べれば、ディズニーランドに行くようなものだ!
犬の散歩であればかなり自然に誘えるし、断られてもそこまでダメージは大きくないだろう。それに、いつもの公園のように他に大勢の人や犬がいたりしないので、もう少し心を開いてくれるかもしれない。気持ちを探るには最適のシチュエーションだ。

さっそくメールをして予定を確認すると、すぐにOKの返事が返ってきた!

当日、公園ではなく彼女の家の近くの交差点で待ち合わせて一緒に歩きながら代々木公園へ向かった。どのくらいの時間だったろうか、公園を一周して、犬を離して遊ばせたりもしたので、2時間くらいは一緒に過ごしたかもしれない。その間に何を話したかは正直ほとんど覚えていない・・・。恐らくいつもとあまり変わりのない世間話をしたような気がする。ただ、僕はそれまで代々木公園で散歩した事がなかったのだが、どうやら彼女は以前はこっちの公園にもよく来ていたらしく、最近はまったく来ていないような事を言った。

もしかして、近所の公園で僕と会うようになってから代々木公園には行かなくなったのかも??
そんな事を考えながらも、直接本人に聞けるはずはないので、そういう事にしようと思った。

その日の散歩でそれ以上の進展はなかったが、はじめて週末にちゃんと待ち合わせをして別の場所で会ったというのは、それなりに大きな進展だったと言える。

しかし、それまで時間をかけて徐々にと考えていたはずだったが、代々木公園の件で妙に自信がついてしまった僕は、調子に乗って花火大会や新潟どころの次元ではない場所へ彼女を誘ってしまうのだった・・・。

「ハワイで会おうよ♪」

そう言ったあとに後悔しても時すでにおそし!

何故そんな事態になってしまったのか、順序を辿って話す事にしよう。

それは代々木公園に一緒に行った次の週だったと思う。彼女が突然ハワイに行こうと思っていると言い出したのだ!

な、、、何故!?

意味が分からなかった。ハワイに一人で行くとはなかなか想像しにくい。もしや彼氏がいるのか!?そして、申し訳ないけどもうあなたには会えません的な流れなのか??

終わった・・・。一夏の恋が・・・。

そう思っていた矢先、「一人旅」というキーワードが飛び込んできた!

そして、何を血迷ったのか、次の瞬間「ホント!?実は僕もちょうど行こうと思ってたんだよ~♪」とあからさまにバレそうな嘘をついてしまう。

しかし、ここまできたらもう引けない。このビッグウェーブに乗らなければハワイから来た男と名乗る事はできない。

「よかったらハワイで会おうよ♪」

言えた~。さりげなく言えた!
しかし、ここで断られたら終わりだという事にも気付いた。ハワイに行こうとしているところで僕も行くと言い出した途端にやっぱり行かないとなれば、それはもう試合終了の合図としか考えられない。誘ってしまった後にその事態に気付いたがもう遅い。まだ付き合ってすらいない女性をその場のノリでハワイへ誘ってしまっていたのだ!

もう後戻りは出来ないと悟り、覚悟を決めて返事を待つ。
すると、「ホントにいいんですか?」と返ってきたので、即座に「勿論!」と答えた。
すると、少し戸惑っていたようだが「じゃ、じゃあ是非!」と返事が!

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

まさかの自分の暴走に一時はどうなる事かと焦ったが、見事に好転してくれた。
これはもう一気に告白までいけそうな気配!

そう思ったその時、頭の片隅の冷静な部分が目を覚ます。

いやいや、待て待て。
お前は学習能力がないのか?頭を冷やせ!
これはまたドタキャンコースって事はありえないか!?

そ、そんな事は・・・あるのだろうか??
今までのパターンを分析するとあり得ないとは言い切れない・・・。

ここはもう少し待って、チケットを取って確実に行く事になるまで待った方が安全では?
そう思ってその日は踏みとどまってしまった。

しかし、帰ってから冷静に考えてみると、確実に決まってからというのもどうなのか。
もし決まってから告白して、実はあっちは純粋に友達として行くつもりでいたのなら、かなり気まずいムードのハワイ旅行になってしまう。かといってハワイに行って帰ってくるまで引き延ばしたとしても、ダメだった時に受ける事になるダメージは計り知れない。

ハワイに行く事が確定する前に告白するしかない!
そして僕は次の日にとうとう彼女に告白する事を決意したのだ。

次の日、彼女はなかなか公園に来なかった。
もしかしたら昨日は雰囲気に流されてOKしてしまったが、やっぱり嫌だったのかも?とそんな事を考えてしまったりしながら、30分ほど待ったと思う。
もう公園も真っ暗になり出して、残っているのも僕一人になってしまった。流石にそろそろ撤退しないとただの怪しい外人だ。
そう思っていた頃、彼女がやってきた!
遅れた理由は聞いたか聞いていないか、どちらにしても覚えていないが、それから少し二人で話しをしはじめた。

何度か切り出そうとしたが、なかなかタイミングが合わない。何故か、その日に限って彼女は自分の弟が昔、おじいちゃんと自転車に乗っていた時に車輪に足を絡ませてしまって大けがをしたような話で盛り上がりはじめたので、僕の技量ではそこから告白というムードに導く事は難しかった。
流石に公園も真っ暗だったので、そろそろ行きましょうという事になり、二人と5匹の犬を引き連れて歩き出した。

ここで歩きながら告白するしかない!お互いが別れる交差点まであとわずかという距離のところまで来ていた。そこは二人がはじめて出会った交差点でもある。

もうこの際、当たって砕けろ!そう思ってついに覚悟を決めた!

「つ・・・つき・・・」

付き合ってください、

と言おうとしたその瞬間、、、、、、、

彼女の犬が

道の真ん中でウンチをし始めた。

(最悪過ぎる...(;´Д`)…なんて空気の読めない犬なんだお前は!)

そう心の中で叫びながら、もはやウンチの直後に告白なんて出来るわけもないと思い、「月が綺麗ですね」と無理矢理な流れにもっていくしかないと考えた、、、

が、そこは木の下。上を見上げても月など見えるポジションではなかった(;゚ Д ゚)

もうダメだ、、、取り返しがつかない(><) これは言うしかない!

心を決めた!

「付き合ってください」

そう言ったんじゃないかと思うが、何しろ頭の中は真っ白でハッキリは覚えていない。

相手もまさか、犬のウンチを拾い終えたその瞬間に告白されるとは想定外だったのだろう。唖然としていた。

『ジョジョの奇妙な冒険』のポルナレフ風に例えるならば、

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『おれは犬のウンチを拾っていたと思ったら
いつのまにか告白されていた』

まさにそんな感じである。
僕は彼女の時を止めてしまったのだ。

あまりの奇妙な出来事に状況を飲みきれなかったのか、しばらくして彼女から「考えさせてください」という返事が返ってきた。

しかしやれるだけの事はやった。
犬のウンチのおかげでロマンチックなムードからは程遠くかけ離れてしまったが、なんにしても告白できた。あとはもう結果を待つしかない。

家に戻ってから一時間ほどしてからだろうか、彼女からメールが着た!

自分はおっちょこちょいで、田舎者で、農家の娘だし、自分よりももっと良い女性がいるだとか、
そんなわけの分からない内容だったと思う。

そんな部分も全部ふくめて彼女の事が好きだった。自分だってハワイ育ちなんて聞こえはいいが、アメリカ本土から見ればただの田舎者だし、母親だって材木屋の娘だ。別にそんな事はそもそもまったく関係ないのだが、とにかくそんな内容のメールをダメもとで返した。

するとしばらくして、思いがけない返事が!
「よろしくお願いします」と返ってきたのだ!

お互いの想いがすれ違い続けること約3ヶ月、僕達はとうとう付き合いはじめた。

とは言っても日本で一回もデートをしないまま僕が先にハワイに行く事となり、あとからハワイで合流してから、付き合ってはじめてのデートをする事になる。だから、日本で出会った二人の初デートは海外旅行という何とも不思議な事となってしまった・・・。

とにかく、ハッピーエンドを迎えた二人の出会いの物語りは一旦ここで幕を閉じます。
人生、山あり谷ありと言うだけあって、付き合い始めてからもまた数々の試練が待ち受けていますが、それはまた別のシリーズでお話ししようと思います。

偶然出会った男女が、お互い恋に落ち、勘違いや、すれ違いを繰り返しながらもなんとか結ばれる事ができた事は、きっと毎日どこかで起きている平凡なラブストーリーでもあるのでしょうが、それと同時に一つの奇跡でもあるのかもしれません。6年も前の事なので、色々と忘れてしまったり、妻と話が合わないあやふやな部分もありますが、もっと忘れてしまってまったく噛み合わなくなる前に文章として残しておく事が出来て良かったと思います。二人で交互に出会いの思い出について書くというのはなかなか恥ずかしかったですが、面白い試みでもありました。我慢して読んでくれた読者の皆様に感謝です!また続きを書く時はどうぞよろしくお願いします♪

妻との出会い【完】


 

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