iPhoneアプリ:無料か有料版、どちらを売り込むべきか?

2/18/2011 Leo Rivas(リオ・リーバス) 11 Comments

iPhoneアプリをリリースする時、有料版のみで勝負するか、無料版だけで勝負するか、もしくは両方で勝負するか?戦略は色々あります。両方を出す場合、どちらをプッシュするべきか?と、いつも悩まされます。
「プッシュする」とはつまり、どちらをメディアに取り上げてもらうべきかの判断です。両方紹介してもらえれば勿論ベストですが、やはりそういうわけにもいかない事が多いので、リリースのタイミングなども含めて慎重にならなければなりません。
今回は今までAppBankさんのサイトで記事を掲載してもらったiPhoneアプリに限定し、それらの売れ行きなどのデータを並べて、無料と有料のどちらを紹介してもらった方が長い目で得なのかを検証します。

まずは最近リリースしたiPhoneゲーム「LUPiQ」の無料版と有料版の収益の比較です。
今回のアプリは、有料版を先にリリースし、約1週間後に無料版を出し、そしてAppBankさんに無料版の寄稿の掲載をお願いし、大体その10日後に掲載して頂いた、という流れです。
リンク>>LUPiQ Lite: 簡単そうで意外と難しい、四隅の色を合わせる脳トレ系パズル。無料。517

記事の掲載前は10日間で約3000ダウンロードくらいしかなかった無料版も、掲載から5日目で1万ダウンロードに達しました。一日のダウンロード数のピークは紹介された次の日で2200DLです。徐々にペースも落ち始め、昨日で1300くらいです。無料ボードゲームでのランキングも少し落ち始めたので、この先は3桁台でしばらく落ち着くような流れになりそうです。

さて、本題に入りましょう。短い期間ですが、この短期間での両バージョンの収益を比べたところ、ほぼ同じという結果になりました。有料版はリリースから23日の昨日までの時点で179ダウンロード(約14,500円の売り上げ)、に対し、無料版は15日目の昨日で$160(約13,300円)に達しました。有料版の方が少し先にリリースされているアドバンテージがあるにも関わらず、既に無料版が追いついてきています。
有料版は既に一日1〜2ダウンロードというほとんど売れない状態にまで落ちていますが、無料版はダウンロードのペースこそ落ちているものの、広告報酬額に関してはむしろ毎日少しづつ伸び続けていて、昨日で一日$30を記録しました。これもそのうち確実に落ちる事は予想できますが、当分の間は一日$20くらいを保つのではないかと思います。
どちらにしても今日の時点で確実に無料版の収益が有料版を抜く事は間違いありません。

しかし、ここで無料版の方を紹介してもらった方が得という結論を出すにはまだ少し早いでしょう。逆に同じアプリの有料版を紹介してもらっていた方が儲かったのでは?という考え方もできるので。これについては結局両方を同じタイミングで試す術はないので過去のデータから推測する事しか出来ませんが、いくつかの実例を見比べてみましょう。

1)PUZZERO(パゼロ)。紹介当時230円。AppBankでの掲載日は2009年11月30日。
紹介された初日のDL数は47。2日目23。3日目で8です。4日目が4、といった感じで、一週間のトータルで約14,400円の売り上げになりました。

2)シンクロ・フィンガーズ。紹介当時115円。AppBankでの掲載日は2010年3月2日。
紹介初日45ダウンロード。2日目17。3日目3。4日目4。一週間のトータルは約6,300円でした。PUZZEROとの大きな差はアプリの価格です。このゲームは115円だったので、ダウンロード数はそこまで大きな差はありませんが、売り上げ的には倍以上の差です。

3) SUSOKU。紹介当時230円。AppBankでの掲載日は2010年3月20日。
紹介初日102ダウンロード。2日目48。3日目19。4日目85。5日目119。6日目52。7日目42。一週間のトータルで約75,000円くらいです。
4日目の突然の跳ね上がりは、その前日のAppBank夕刊トップでプレイ動画が載った効果です。5日目にも影響しています。リンク>>[夕刊] App StoreのゲームはPSPのゲームより売れているそうです。
このゲームに関しては他の2つと比べると状況的に有利な点が多かったとはいえ、有料版は波にさえ乗れればドカンと行く事が分かります。

4)フュージョン計算機。紹介当時230円。AppBankでの掲載日は2010年7月28日。
紹介初日79ダウンロード。2日目56。3日目57。4日目33。5日目20。6日目28。7日目10。一週間のトータルが約41,400円です。幸運にもフュージョン計算機に関しては、その後リリースした無料版の方も紹介して頂けたので、比較するデータがあります。
無料版のAppBankでの掲載日は2010年9月13日でした。紹介初日が2152ダウンロード。2日目1739。3日目1011。4日目780。5日目591。6日目398。7日目357、といった感じです。その後も色々なサイトで紹介されたりもして、結果的には10万ダウンロードを超えるヒット作になり、今でも広告報酬は一日$15前後で安定しています。
有料版の方はどうなっているかというと、一日に少なくて4〜5ダウンロード、多くて10といった感じでしょうか。iPad版もポチポチ売れているので、間違いなく無料版よりは利益を生んでいます。
しかし、有料版を購入している人の多くは恐らく無料版ユーザーから流れてきている事が推測できるので、無料版があってこそ保てている利益である事も間違いないと思っています。

SUSOKUは有料版が一時は勢いがあり、最終的に約2200ダウンロードに達しましたが、最近はまったく売れません。週に1ダウンロードあるかどうかといった感じです。このアプリは有料版のだいぶ後に無料版もリリースしましたが、結局いまだに有料版のダウンロード数すら超えられない状態です。有料版は短期的には成功したアプリと言えるのかもしれませんが、やはり本来は少しづつでも長く売れ続けるアプリを作るのが理想なので、長期的に見ると決して成功例とは言えないでしょう。

AppStoreには沢山のヒットアプリがあり、売れ方は様々です。有料版のみで大ヒットし、今でも売れ続けているアプリもありますし、無料版/有料版のどちらも長期的にダウンロードされ続けるタイプのアプリもあります。逆に無料版を出したおかげで有料版が売れなくなった、なんてアプリもあるでしょう。なので「無料版は絶対に必要だ」と言い切る事はできませんが、少なくとも成功する為の鍵の一つである事は間違いないと思ってます。

今後、iAdが日本でも始まり、軌道に乗る事ができれば、無料版の方が圧倒的に有利になる可能性は十分あると考えられます。近いうちに動きがあると思うので、注目ですね!

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iPhone、iPadで確定申告がラクになる電卓!フュージョン計算機!

2/16/2011 Leo Rivas(リオ・リーバス) 3 Comments

確定申告の時期になりましたね。
毎年、この時期が近付くだけで憂鬱になります。
僕はギリギリまで待つと余計ストレスになるので、少し前に終わらせてしまいました(^O^)
今年は自分で作った「フュージョン計算機」を初めて確定申告で使う事ができ、最高に便利な電卓だと再確認する事が出来ました!こらから確定申告の計算をする方達に絶対にオススメです!

まずはフュージョン計算機を知らない方の為にビデオを用意しました。普通の電卓との違いを理解するには動いているのを見るのが一番なのでどうぞご覧下さい:






ご覧になったとおり、計算した数字を指で引っ張るだけで一旦べつの所に置いておく事ができます。そして別の計算をした後に保存しておいた数字をもう一度引っ張って戻す事で、足したり引いたりする事も出来ます。普通の電卓ならばこのような計算をする時にメモリー機能を使ったり、紙にメモを取ったりする必要がありますが、フュージョン計算機ではそのような事をしなくてもよくなります!

数字を一つづつ足していく手間をはぶく機能もあります。右上の緑のボタンを押すと、外に出しておいた全ての数字を一度に足して合計を出してくれます。これはただ時間短縮の目的だけではなく、全ての数字を足す前に一つ一つの数字を確認し、間違いが無いかの最終チェックが出来るというメリットもあります。確定申告の経費の計算などで沢山の数字を足さなければいけない作業がスムーズ&的確に出来るわけです!

他に便利な機能は「複製」です。これは有料版のみの機能ですが、数字を指で外に出す前に(+)か(x)ボタンを一度押し、その後に数字を出すと、同じ数字を何度も複製できます。桁の多い数字でいくつか別の計算をしたりする場合、何度も同じ数字を最初から打ち直す手間がはぶけます。これも大きな数字を扱う時に結構役に立つ機能です。

フュージョン計算機はiPhone版、iPad版と、どちらも無料/有料とありますので、iPhone/iPod TouchまたはiPadユーザーの方は是非一度お試しください。確定申告のように室内でやる作業に関しては、大画面で出来るiPad版の方が見やすく間違いもしにくいのでオススメです!

AppStoreのリンクはこちらです:
iPhone/iPod Touch版:フュージョン計算機(有料)
iPhone/iPod Touch版:Fusion Calculator Lite(無料
iPad版:Fusion Calculator for iPad(有料)
iPad版:Fusion Calculator for iPad Lite(無料)

有料版を持っている方でも、無料版との組み合わせると更に便利になりますよ♪
では皆さん、今年も確定申告がんばりましょ〜(^O^)/

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続・iAd導入前の注意点

2/14/2011 Leo Rivas(リオ・リーバス) 2 Comments

以前書いた「iAd導入前の注意点と今後への期待」という記事が、TechCrunchさんの『モバイル広告の世界に広がる“iAdsはだめだ”説』という記事で参考記事とされていたので誤解がないように書きますが、「匿名を条件に話した」デベロッパーは僕ではありません(笑)

この記事を否定する気はないですし、現段階でiAdがダメである事は間違いないと僕も思います。ただ、今後への期待は今も変わりません。まだiAdは本格的に始まっていないですし、成功か失敗かを判断するには少し早いというのが個人的な意見です。
これからiAdを導入しようと考えている方達の為にも、今この時点でのiAdの注意点を書く事にしました。

注意1)iAdはまだ日本では始まっていない。日本が主なターゲットのアプリに導入する場合、必ずバックアップとして他の広告(Admob/Adsenseなど)を入れる事。

注意2)iPad用のiAdは米国でもまだほとんど無い!国関係なしにFill Rate(表示率)ゼロを覚悟する事。これも他の広告を導入する事でリスク回避は可能。

注意3)現段階ではゲームのカテゴリーが有利?
あくまで個人的なデータですが、ゲームアプリの表示率の方が仕事効率化の「FusionCalc Lite」と比べると断然高いのです。恐らくこれは広告主たちが選ぶ「ターゲット」がゲームやエンターテイメント系に偏っているのだと思います。ゲームと仕事効率化では、表示率は最低でも10倍は違います。日によっては50倍の差が出る事も。アプリのカテゴリーによって表示率が大きく変わる事は覚えておきましょう。

注意4)広告の種類の少なさ。
以前と比べるとだいぶ多くなったという印象はありますが、やはり高い広告だけあって、なかなか広告の種類が増えないというデメリットがあります。一回クリックされれば115円のアプリを売るよりも収益はデカイですが、既に他のアプリで何度も見た広告を何回もクリックするユーザーはそうそういないでしょう。そういう事もあってか、iAdのクリック率はお世辞にも高いとは言えません。いくつかのアプリの過去1ヶ月の平均を見ると大体0.3%〜0.4%です。
同じアプリのAdmobでの平均クリック率は0.5〜1%です。大した違いが無いように見えますが、倍近くの差です。しかし、iAdのクリック単価が10倍以上高い事を考慮すると、iAdの方が有利と考える事も出来ます。ただ、まったく同じ条件での比較ではない為、最終的にどちらの方が儲かるかの判断は難しいところではあります。

なんにしてもiAdはまだ世界的に広がりきっていないので、iAdのみで勝負するという考えは捨て、他の広告との組み合わせで様子を見るのがベストだと思います。そのへんを上手くコントロールすれば、iAdが期待はずれだったとしても、そこまでガッカリする事もないはずです。
iAdや他の広告のメリットやデメリットをしっかりリサーチした上でアプリへ導入する事をおすすめします。

【追記】
注意5)ユーザー層は「18歳以上」を選ぶ!
iAdを導入したアプリをはじめて登録する際、「17歳未満向け」か「18歳以上」かを選ぶ項目がありますが、これは後から変更する事が出来ません。変更するにはアプリをもう一度別のアプリとしてサブミットし直さなければならないので注意しましょう。
17歳未満にしない方が良い理由ですが、17歳未満向けの広告がほとんど無いからです。ただでさえ低い表示率が更に低くなるのでターゲットを絞る事にメリットはありません。しかし、あからさまに子供向けアプリを「18歳以上」と選んで審査を通るかは分からないので、子供向けアプリにiAdを導入する事はどちらにしてもリスクが高い事を承知の上で検討するべきだと思います。

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