115円の厚い壁
ここ最近、密かに行ったマーケティング実験のデータを少し公開します。
一つは
ONI BASEBALLの1日限定無料化です。
これで分かった事は一つ。無料と115円の間には究極に厚い壁があるという事。
ONI BASEBALLはiTunesのゲームカテゴリーで「スタッフのお気に入りゲーム」に載せてもらったにも関わらず、実際のところ売り上げへの影響はほとんどありませんでした。
ユーザー側が慎重になったのか?
そんなに多くの人がパソコン上でiTunesを開いてまで「スタッフのお気に入りゲーム」をチェックしていないのか?
単にONI BASEBALLに十分な魅力がなかったのか?
色々考えられますが、結局効果は微妙だったという結果だけが残りました。
その効果はというと、リリース日からアップルに紹介される前日までの1週間は、一日でゼロから10前後のダウンロード(全世界のストア)。
紹介された日に22ダウンロード、次の日からは平均10から徐々に平均5くらいまで下がっていったという具合です。
結局、一日無料化した日を除くと、紹介初日の22ダウンロードを超えた日はなく、一週間もしないうちに紹介される以前とまったく変わらない状況に戻ったという事になります。
では無料化した、たった一日のダウンロード数は何かというと、全世界で1500ダウンロードです。確かに無料なら損はありませんが、無料でも興味がなければダウンロードしませんよね。
つまりこれが意味する事は、興味はあっても確信がなければ115円も出さないというのが現実であり、この壁を壊す事ができた者だけがAppStoreで生き残れる、という事でしょう。
さて、もう一つの実験の話に変わりますが、
新作の
パゼロでは初めて海外マーケティングに本格的に取り組みました。
海外サイトに片っ端からプレスリリースメールを送ったり、YouTubeビデオを作ったり、
それなりに出来る範囲で、お金をかけず頑張ったつもりです(笑)
そのうちの一つ、サイト内のフォーラムでのプロモーションコードの配布、で面白い発見がありました。
合計で40個ほど配ったのですが、なんとその結果、米AppStoreのランキングに食い込む事ができたのです。確かゲーム内「教育」カテゴリーの70位台まではいきました。
何が面白いかというと、この日の利益がゼロだったという事です!
いや、正直悲し過ぎる結果ではあったのですが、それと同時に、プロモーションコードのダウンロード数もランキングに反映するという発見にもなったわけです。
たとえばONI BASEBALLのように有料版を期間限定で無料にし、1000以上のダウンロードがあった後に有料に戻したとしても、その無料ダウンロード数は直接有料ランキングへは影響しません。まったく別の扱いを受けるわけです。
しかし、プロモーションコードに限っては無料で配布しているにも関わらず、有料ランキングのダウンロード数と同じ扱いを受ける事になるので、これは有効に使えばそれなりのマーケティング戦略に活用できそうです。
今回はランキングに食い込めたはいいが、そこから先に繋がらなかった為、すぐにランキング外へ消えるという結果で終わり、その上、レビューの1つも付けてもらえないという悲惨な結果ではありましたが、一応、お金をかけずに(ある意味自力で)ランキングに一日は顔を出させられる唯一の手段を知る機会にはなりました。(カテゴリーによっては50程度じゃランクインすらしないでしょうけど...)
今回学んだ事をまとめると、
(1)今の多くのiPhoneユーザーはちょっと興味をもった程度では安くてもすぐには手を出さない。
(2)レビューや評価が良い、など、何かもう一つ背中を押す要素が必要。
(3)無料なら100から1000倍のダウンロード数が見込める。(ただし評価の辛さも倍増する法則:無料だと軽い気持ちでも試す人が多い為、この現象が起こりやすくなる)
*注)ちなみにこれらは全て無名に近い一開発者の経験とデータを元にした推測であり、必ずしも全てのアプリに当てはまる事とは限りません。
そんなこんなで、色々試行錯誤した結果、やはり今は有料版とは別にLite版(無料お試し版)の存在は欠かせないのかも、という結論に辿り着きました。結局、実際に試してもらって購入に繋がる形がベストでもありますし。ただ、前にも
「書きトレLite」という無料アプリを1作出したのですが、このアプリに関しては有料版への売り上げ効果は感じられませんでした。逆にあまり売れなくなったくらいです。なのでLite版を出す事には慎重になっていたんです。
ただ確実に商品を知ってもらう機会は増えるため、上手くやれば間違いなく効果は見込めるでしょうし、(有料版に対して)「期待していたモノと違った」というクレームが少なくなるのも間違いなさそうですね。売り上げに繋がるかどうかはギャンブルですが、結局アプリの一番の宣伝法はLite版で間違いはなさそうです。
結果、有料版の購入へと繋げられなかったとしても、数万人に自分の作品を試してもらえるだけでも十分凄い事ではありますからね。
そんなわけで早速ですがパゼロのLite版を昨日提出しました!
タイムアタックモードのみプレイ可能で、Admob広告付きです。
今まで(デザイン上)広告を載せる事には抵抗があったのですが、実は今回は初期の段階から広告付きLite版の可能性も意識して作っていたので、ゲーム自体の支障にならないよう、尚かつデザイン的にも上手くまとめられたと思っています。
広告収入自体はあまり期待していないのですが、これもまた半分実験的な気持ちで試す事にしました。
Lite版を出す事で、有料版には更に付加価値を付けたいとも思い、現在、更なるモードやいくつかの追加要素を企画している所ですが、どこまで実現できるかまだ分からないので、とりあえず詳細は伏せておく事にします。
まずは近々審査を通るであろうバージョン1.1にご期待ください!
これだけでも結構やり込めるはずです。
そして興味はあるけどまだ購入まで踏み切れないという方はもう少し待ってLite版をお試しください!
http://www.studioloupe.com/2009/12/115.html?m=0115円の厚い壁
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